この記事では、出戻り転職が受け入れられる条件と、元の会社への連絡から面接、条件確認までの進め方を整理します。断られやすい人の特徴や、戻ってから後悔しないための確認事項も取り上げます。
出戻り転職はあり?受け入れる企業が増えている理由
出戻り転職とは、一度退職した会社に再び入社することです。「辞めた人間が戻るのは気まずい」と考えて踏み出せない人は少なくありませんが、企業側は退職者を採用の選択肢に入れています。在籍中の評価や退職理由など条件がそろえば、出戻りは十分に現実的な選択肢です。
企業が出戻りを受け入れる4つの理由
- 業務内容や社内ルールを知っているため、入社後すぐに戦力になりやすい
- 人柄や仕事ぶりが分かっており、入社後のミスマッチが起きにくい
- 求人広告や紹介手数料などの採用コストを抑えられる
- 社外で身につけた知識や経験を、社内に持ち帰ってもらえる
採用担当者にとっては、面接だけでは見えない働きぶりを知っている人を迎えられる点が大きな利点です。
経験者は約1割。きっかけは「誘われた」が最多
エン・ジャパンが2024年7月に発表した調査(エン転職の利用者4,353人が回答)では、出戻り転職の経験が「ある」と答えた人は9%でした。経験者に出戻りのきっかけを聞いた結果は次のとおりです。
| 出戻りのきっかけ | 割合 |
|---|---|
| 在籍時の上司に誘われた | 35% |
| 在籍時の社長・役員・人事に誘われた | 24% |
| 自分から企業側に相談した | 24% |
| 在籍時の同僚・後輩に誘われた | 19% |
戻った理由の上位は「即戦力として働けると思った」(35%)と「社員や風土に馴染みがあり、働きやすいと思った」(34%)でした。自分から企業に相談した人も約4人に1人います。
20代の経験者では、「転職先で上手くいかなかった」を理由に挙げた人が28%(40代は8%)に上ります。転職先が合わなかったことを、隠すべき失敗のように感じる必要はありません。大切なのは、その経験を戻る理由にどう結びつけるかです。
出戻り転職のメリットと注意点
出戻りは、通常の転職と有利な点も不利な点も異なります。観点ごとに整理すると次のとおりです。
| 観点 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| 仕事 | 業務やルールを知っているため、立ち上がりが早い | 離れている間に体制やシステム、方針が変わっている場合がある |
| 人間関係 | 顔見知りがいて、職場になじみやすい | 「一度辞めた人」という見方をされたり、周囲の期待が高かったりする |
| 選考 | 人柄や実績が知られており、選考が進みやすい傾向がある | 退職理由と戻る理由の説明を、通常より丁寧に確認される |
| 待遇 | 評価されていれば条件を相談できる余地がある | 以前と同じ待遇や役職で戻れるとは限らない |
| 辞めた理由 | 外に出て分かった職場の良さを、仕事に活かせる | 理由が解消されていないと、同じ不満を繰り返しやすい |
出戻りで後悔する人に多いのは、辞めた理由が変わっていないのに、「知っている職場だから安心」という理由だけで戻るパターンです。転職先が合わず焦っているときほど、慣れた環境に引き寄せられます。応募する前に、次の3点を紙に書き出してみてください。
- 前回辞めたときの理由は何だったか
- その理由は、いまの会社で解消される見込みがあるか(上司の異動、制度の変更、配属先など)
- 解消されていないなら、それでも戻りたいと言える別の理由があるか
出戻り転職で歓迎される人・難しくなる人の特徴
企業が出戻りの可否を判断するときは、「この人が戻ったら、また活躍してくれるか」を見ています。判断材料になりやすい特徴を並べました。
| 歓迎されやすい人 | 難しくなりやすい人 |
|---|---|
| 在籍中の評価が高かった | 在籍期間が極端に短かった |
| 円満に退職し、引き継ぎも済ませた | 退職時にトラブルがあった |
| 退職後も元上司や同僚と連絡を取っている | 退職後、連絡が途絶えている |
| 転職先で成果を出し、スキルを積んだ | 退職理由が解消されておらず、戻る理由も曖昧 |
右側に当てはまっても、出戻りができないとは限りません。ポジションに空きがあるか、当時の問題がその後どう変わったかによって結果は変わります。円満退職でなかった場合は、当時の対応を認めたうえで、いまは何が変わったのかを具体的に伝えることが出発点になります。
出戻り転職を実現する3つの方法
元上司・元同僚に相談する
経験者の最も多いきっかけは、上司や同僚からの声かけでした。退職後も連絡を取っている相手がいれば、応募の前にまず「戻る可能性はあるか」を相談できます。連絡するときは、次の流れで伝えると唐突な印象になりません。
- 近況と、退職時にお世話になったことへのお礼
- 戻ることを検討していると、率直に伝える
- 戻りたい理由(辞めた理由がどう変わったか)を簡潔に添える
- 「応募したい」ではなく、「状況を教えてほしい」という相談の形にする
上司個人が歓迎してくれても、採用の可否は人事や経営層の判断になります。上司に相談したあとは、人事の窓口にも話を通してもらえるか確認してください。
人事・採用窓口に直接応募する
会社によっては、退職者向けの「アルムナイ制度」や「カムバック制度」を設けています。公式サイトの採用ページや、退職時に受け取った案内を確認してください。制度がなくても、通常の求人に応募する形で出戻りを受け付ける会社は多くあります。
転職エージェントを通して応募する
元の会社に直接連絡しにくい場合は、エージェント経由の応募が選択肢になります。退職理由の伝え方や条件交渉を第三者に任せられるほか、出戻り先以外の求人も並べて比較できます。
ここまで読んで、元の会社に連絡するか迷って手が止まっているなら、先に今の状況を第三者に話して整理する方法もあります。
面接で聞かれる「なぜ辞めたのに戻るのか」の答え方
出戻りの面接で面接官が確かめたいのは、「辞めた理由は解消されたのか」「また同じ理由で辞めないか」の2点です。逆にここに納得できる答えがあれば、通常の転職より話が早く進むこともあります。
答えの組み立て3ステップ
- 当時の退職理由を、事実のまま短く伝える(会社への不満を並べない)
- 社外で得た経験や、離れて気づいた職場の強みを具体的に述べる
- 「戻りたい」ではなく、「戻ってこの仕事で何ができるか」で締める
NG例とOK例
| 回答例 | |
|---|---|
| NG | 転職先が合わなかったので、慣れている御社に戻りたいと考えました。 |
| NG | 前の職場のほうが楽だったので、戻りたいです。 |
| OK | 在籍時は営業として新規開拓を担当していました。他社で既存顧客のフォローを3年間経験し、新規と既存を一貫して担当できる体制の価値に気づきました。その経験を活かし、御社の顧客基盤をさらに広げたいと考えています。 |
NGの2例に共通するのは、戻る理由が「自分の都合」だけで終わっている点です。面接官は、会社にとっての利益を聞いています。社外で得たものを一つでも具体的に言えるように準備してください。
職歴の書き方で迷う場合は、出戻り転職の履歴書の職歴欄の書き方も確認しておくと、書類での見せ方がそろいます。
退職してから年数が空いている場合は、退職した会社に再就職できる期間の目安もあわせて確認してください。
戻る前に確認したい条件と、同じ理由で辞めないためのチェック
出戻りは「知っている職場」だからこそ、条件の確認が後回しになりがちです。内定が出る前後に、次の項目を具体的に確認しておきます。
| 確認項目 | 聞いておくこと |
|---|---|
| 給与・年収 | 提示額は退職時と比べてどうか。賞与や手当の扱いは同じか |
| 役職・職種 | 以前のポジションに戻るのか、別の役割か |
| 勤続年数の扱い | 退職金や有給休暇の計算で、前回の在籍期間が通算されるか(会社ごとに扱いが異なる) |
| 配属先 | 前回と同じ部署か。上司やチームは誰か |
| 辞めた理由の現状 | 当時の原因(残業、人間関係、評価制度など)がその後どう変わったか |
条件は口頭の約束で終わらせず、入社前に労働条件通知書などの書面で確認してください。企業には労働条件を明示する義務があります(労働基準法第15条)。口頭で聞いた内容と書面に違いがあれば、承諾する前に問い合わせます。
出戻り先だけに絞らず、他の会社とも比べる
出戻り先が1社だけだと、条件が合わなくても「ここしかない」と決めてしまいがちです。出戻り先と他の応募先を同じ基準で並べて比べると、戻りたい理由が本物かどうかも見えてきます。
出戻りにするか別の会社にするか決めきれないなら、条件の整理だけでも先に進めておくと判断しやすくなります。
まとめ
出戻り転職のまとめ
- 出戻りは、在籍中の評価・円満退職・退職理由の解消がそろえば十分に現実的な選択肢
- 経験者のきっかけは、上司や人事からの声かけが多い一方、自分から相談した人も約4人に1人
- 面接では「辞めた理由」と「戻る理由」をつなげ、社外で得たものを具体的に話す
- 給与・役職・勤続年数の扱いは、書面で確認してから決める
出戻りは、辞めた理由が今どうなっているかを言葉にできるかで結果が変わります。まずその点を書き出すところから始めてください。
出戻り転職に関するよくある質問
出戻り転職は何年以内ならできますか?
辞めた会社に「戻りたい」と連絡するのは失礼ですか?
出戻りで給料は上がりますか?
円満退職でなかった場合は、出戻りできませんか?
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