この記事では、転職先が決まってから現在の職場へ退職を伝える時期・手順・例文をまとめています。引き止められたときの断り方、転職先を聞かれたときの答え方、最終出社日までの流れも紹介します。
転職先が決まってから退職を伝える時期|内定承諾後が基本
内定が出ると、早く現職へ伝えて気持ちを楽にしたくなります。ただ、退職の申し出は一度受理されると取り消しにくく、転職先の入社条件が固まる前に動くと、行き場を失うおそれがあります。
内定承諾後・入社条件を書面で確認してから伝える
切り出す目安は、次の3つがそろった時点です。
- 内定承諾の返事をし、必要な書類(内定承諾書など)を提出した
- 給与・勤務地・入社日などの条件を、労働条件通知書やメールで確認した
- 入社日が転職先との間で確定している
内定の連絡を受けた直後は、条件面の最終調整が残っていることがあります。この段階で退職を伝えてしまい、条件が折り合わなかった場合、現職に戻りづらい状況になりかねません。
「気持ちの準備ができたか」ではなく、「入社条件を書面で確認できたか」で決めます。
まだ選考中の企業があり、履歴書に退職予定日を書く段階の方は、履歴書の退社予定の書き方も確認しておくと、入社可能日の伝え方に迷いません。
退職日は入社日から逆算して決める
伝える時期は、入社日から逆算すると決めやすくなります。次の表は、就業規則に「退職の1ヶ月前までに申し出る」と定めがある場合の例です。
| 項目 | 決め方 | 例(入社日が12月1日の場合) |
|---|---|---|
| 入社日 | 転職先と合意した日 | 12月1日 |
| 退職日(在籍最終日) | 入社日の前日にすると空白期間が出ない | 11月30日 |
| 最終出社日 | 退職日から有給の残日数分さかのぼる | 有給10日分なら11月中旬 |
| 退職を伝える日 | 就業規則の期限に、引き継ぎの余裕を足す | 期限は10月30日。引き継ぎ期間を確保するなら10月上旬〜中旬 |
※就業規則が1ヶ月前申告の場合の一例です。実際の日程は勤務先の規定と有給残日数で変わります
引き継ぎに必要な期間は、担当業務の量で変わります。社外の取引先が多い職種ほど、期限ぎりぎりではなく余裕を持って伝えたほうが、最終出社日までに引き継ぎを終えられます。
法律上は2週間前、実際は就業規則の期限に合わせる
期間の定めのない雇用(正社員など)の場合、民法627条1項により、退職の申し入れから2週間が経過すれば雇用契約は終了します。会社の承諾がなくても、法律上は退職できます。
ただ、就業規則で「1ヶ月前まで」「2ヶ月前まで」と定めている会社は少なくありません。後任の手配や引き継ぎを考えると、実務では就業規則の期限に合わせて伝えるのが一般的です。法律を盾に急に辞めると、最終出社日までの関係がこじれやすくなります。
契約社員など期間の定めがある場合は、契約期間の途中で辞められるかどうかのルールが異なります。契約書の内容を確認し、不明な点は人事に問い合わせてください。
転職先が決まってから退職を伝える手順と基本の伝え方
全体の流れは次の5ステップです。順番を入れ替えると、上司の心証を損ねる原因になります。
- 直属の上司に面談の時間をもらう
- 対面で、退職の意思と希望日を先に伝える
- 退職日と引き継ぎの進め方を上司と相談する
- 退職日が合意できたら、退職届を提出する
- 上司の指示に従い、社内・取引先へ周知する
まず直属の上司に時間をもらう
最初に伝える相手は直属の上司です。同僚や先輩に先に話すと、噂として上司の耳に入り、印象を損ねます。立ち話ではなく、1対1で話せる時間を確保してもらいます。
お忙しいところ恐れ入ります。今後のことでご相談したいことがあり、30分ほどお時間をいただけないでしょうか。他の方に聞かれない場所でお話しできると助かります。
用件は「ご相談」と書けば十分です。上司に「何の話か」と聞かれたら、「今後のキャリアについてです」と答えれば、嘘にはなりません。
面談では結論を先に、感謝とあわせて伝える
面談では、理由の説明より先に「退職したい」という結論を伝えます。前置きが長いと相談や愚痴と受け取られ、上司に引き止める余地を与えてしまいます。
本日はお時間をいただき、ありがとうございます。次の職場が決まり、○月○日をもって退職したいと考えています。これまで多くのことを教えていただき、感謝しています。引き継ぎは最終出社日までに責任を持って進めますので、退職日や進め方についてご相談させてください。
「辞めようか迷っています」という相談の形にしないことが大切です。迷っていると受け取られると、上司は説得を始めます。日付を示し、「退職希望日」として伝えると、その後の調整の話に移りやすくなります。
退職届は退職日の合意後に出す
面談の場で退職届を差し出すのは避けます。まず口頭で伝え、退職日が合意できてから、会社の様式に従って提出します。書式や提出先が決まっている会社もあるため、上司に「退職届の提出方法を教えてください」と確認すると、書き直しの手間がありません。
退職理由の伝え方と例文|引き止められにくい言い換え
転職先が決まっていても、退職理由は必ず聞かれます。現職への不満をそのまま伝えると、「改善するから残ってほしい」と交渉の余地を与えます。理由は、次の職場で実現したいことに置き換えると、話が前向きに終わります。
本音を前向きな理由に言い換える
| 本音 | 伝え方の例 |
|---|---|
| 残業が多く、体力的に限界 | 長く働き続けられる環境で、専門性を高めたいと考えました |
| 給与に納得できない | これまでの経験を評価していただける環境で、挑戦したいと考えました |
| 仕事内容が合わない | ○○の分野で、経験を積みたいと考えました |
| 人間関係がつらい | 新しい環境で、自分の役割を広げたいと考えました |
| 将来のキャリアが見えない | ○○に携わる仕事に挑戦したいと考えました |
嘘をつく必要はありません。事実のうち、前向きに言える部分を選んで伝えます。
退職理由で避けたい言い方
- 上司や同僚への批判(引き継ぎ期間の関係が悪化し、最終出社日までが長く感じられます)
- 転職先との条件比較(「給料が高いから」と伝えると、待遇改善の提案で引き止められます)
- 「できれば」「かもしれません」といった曖昧な言い回し(退職が確定していないと受け取られます)
- 有給消化や最終出社日を一方的に宣言する言い方(相談の形にしないと、引き継ぎの話が進みません)
引き止められたときの断り方|パターン別の返答例
退職を伝えた直後は、気持ちが揺らぎやすい場面です。「君がいないと困る」と言われれば、迷うのは自然な反応です。ただ、引き止めに応じる前に確認したいのは、退職を考えた原因が、その条件で本当に解決するのかという点です。
パターン別の返答例
| 引き止めの言葉 | 返答の例 |
|---|---|
| 「今辞められると困る」(時期の延期) | ご迷惑をおかけして申し訳ありません。転職先と入社日を約束しているため、退職日は変えられません。引き継ぎ資料を作り、後任の方へ最後まで説明します |
| 「給料を上げる」「異動させる」(条件の提示) | 評価していただき、ありがとうございます。待遇だけが理由ではなく、挑戦したい仕事が決まっての判断です |
| 「無責任だ」(感情的な反応) | ご迷惑をおかけすることは承知しています。それでも決めたことですので、退職日までにできる限りの引き継ぎをいたします |
| 「考え直してほしい」(再考の依頼) | お気持ちはありがたく受け取ります。入社の返事をしており、気持ちは変わりません |
気持ちが揺らいだときに確認すること
条件を出されて迷ったときは、次の4点を紙に書き出して整理します。
- 退職を考え始めたきっかけは、提示された条件で解消されるか
- 提示された条件は、書面で約束されるか(口頭だけで終わらないか)
- 転職先へ承諾の返事をし、入社日を約束している事実をどう扱うか
- 1年後も、今の職場で同じ不満を感じないか
口頭で示された待遇が、後から実現されないケースもあります。残る場合は、条件を書面で確認することが前提です。
引き止めや入社日の調整を一人で進めるのが不安なときは、転職エージェントに相談する方法があります。内定先の条件の確認や入社日の調整を、第三者の立場で整理してもらえます。
転職先を聞かれたときの答え方
上司や同僚から「次はどこに行くの?」と聞かれる場面はよくあります。転職先を会社に伝える法律上の義務はありません。答えるかどうかは、自分で決められます。
| 対応 | 答え方の例 | 向いている状況 |
|---|---|---|
| 伝えない | まだ正式に公表できる段階ではないので、差し控えさせてください | 同業他社への転職、入社前で内定先の方針を確認できていない |
| 業界だけ伝える | ○○業界で、これまでの経験を活かす予定です | 詳細は伏せたいが、何も答えないのも気まずい |
| 社名まで伝える | ○○社に決まりました | 取引上の関係がなく、上司との信頼関係がある |
- 同業他社の場合、就業規則や入社時の誓約書に競業の制限がないか
- 社名を伝えた相手から、取引先や他の社員へ広がっても問題ないか
- 転職先から、入社前の社名の公表について指示を受けていないか
どの答え方にするかは、面談の前に決めておきます。その場で考えると、聞かれた勢いで必要以上に話してしまいがちです。
退職を伝えてから最終出社日までの流れ
引き継ぎは「後任が一人で読める資料」を目安に
退職日が決まったら、すぐに引き継ぎの準備を始めます。
- 担当業務の一覧(定例業務・進行中の案件・期限)
- 取引先と担当者の連絡先、やり取りの経緯
- ファイルの保管場所、システムのIDやアクセス権限の管理者
- 取引先への挨拶(後任の紹介を兼ねて、引き継ぎ期間中に済ませる)
資料は、後任が読むだけで動ける状態を目安に作ります。口頭の説明だけで終わらせると、退職後に問い合わせが来る原因になります。
有給消化は退職日の合意と同時に相談する
有給が残っている場合は、退職日が決まった段階で上司へ消化の希望を伝えます。会社には、休暇の時季を変更できる「時季変更権」がありますが、退職日を越えて休暇をずらすことはできません。そのため、引き継ぎが済んでいれば、退職前の有給消化は認められやすいとされています。
ただし、直前に突然申請すると、引き継ぎが滞って揉める原因になります。退職日を決める面談の中で、最終出社日と有給消化の開始日もあわせて相談しておくとスムーズです。有給をすべて使い切ろうとして入社日がずれる場合は、転職先と相談のうえ、どちらを優先するか決めます。
退職時に受け取る書類と返却するもの
| 受け取る書類 | 主な用途 |
|---|---|
| 源泉徴収票 | 転職先での年末調整に使用。10〜11月ごろまでに転職先へ提出するのが望ましい |
| 雇用保険被保険者証 | 転職先での雇用保険の加入手続きに使用 |
| 基礎年金番号がわかる書類 | 転職先での厚生年金の加入手続きに使用。会社が預かっている場合は返却を依頼 |
| 退職証明書 | 必須ではないが、転職先から求められる場合がある。必要なら退職日までに発行を依頼 |
| 離職票 | 失業手当を申請する場合に必要。転職先が決まっていて空白期間がなければ、基本的に使わない |
※必要な書類は転職先によって異なります。入社前に転職先の人事へ確認すると確実です
返却するものは、健康保険証、社員証、名刺、制服、貸与のパソコンや携帯電話、鍵や入館証などです。退職日までにリストを作り、漏れなく返却します。
切り出す前に抱えやすい不安3つ
切り出した後の気まずさが怖い
退職を伝えてから最終出社日までは、周囲との距離感が変わります。気まずさをゼロにはできません。ただ、日々の仕事を普段どおりこなし、引き継ぎを進める姿を見せ続けると、「辞める人」ではなく「最後まで責任を果たす人」として見てもらえます。
内定先に影響しないか心配
この不安があるからこそ、内定承諾後に伝える順番を守ります。入社条件を書面で確認したうえで伝えれば、気持ちの面でも落ち着いて面談に臨めます。現職と退職日が合意できた時点で、内定先の採用担当者へ退職日を共有しておくと、入社日の認識がずれません。
つい先延ばしにしてしまう
先延ばしにするほど、就業規則の期限と入社日の両方に近づき、引き継ぎの期間が削られます。「今日は忙しそうだから」と見送ると、翌日も同じ理由で見送ってしまいがちです。切り出す日を決め、上司に面談の依頼を送ってしまうと、動かざるを得なくなります。
退職の伝え方は決まったものの、内定先の条件や入社日に不安が残るなら、切り出す前に第三者の目で確認しておく方法もあります。転職エージェントなら、条件面の確認や入社日の調整を、内定先との間で進めてもらえます。
まとめ
転職先が決まってから退職を伝える方法のまとめ
- 退職を伝えるのは、内定承諾後に入社条件を書面で確認できてから
- 退職日は入社日から逆算する。法律上は2週間前でも、就業規則の期限に合わせる
- 最初は直属の上司に、1対1で、結論から伝える
- 引き止めには「入社日を約束済み」と事実で答え、口頭だけの条件には応じない
- 転職先を伝える義務はない。答え方は面談の前に決めておく
- 最終出社日までに、引き継ぎ・有給消化・書類の受け取りを整える
今週中に切り出す日を決め、上司へ面談の依頼を送るところから始めてください。
転職先が決まってから退職を伝えることに関するよくある質問
退職をメールや電話で伝えてもよいですか?
ボーナスをもらってから退職できますか?
退職日が上司と合意できないときはどうすればよいですか?
引き継ぎが終わらず、入社日に間に合いそうにありません。
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