この記事では、転職先が決まってから退職する場合の流れを、内定承諾後の伝え方・退職日の決め方・引き止められたときの対応の順に解説します。民法のルールと就業規則の関係、入社日までに空白が出るときの手続きも整理します。
転職先が決まってから退職するのが基本とされる理由
退職を先に切り出すと、次の勤務先が決まっていない状態で、現職の上司や同僚との関係だけが変わります。引き止めに遭っても、一度受理された退職の申し出は撤回しにくいとされており、転職先が決まってから退職を伝える順番が基本です。
| 比較項目 | 転職先が決まってから退職 | 退職してから転職活動 |
|---|---|---|
| 収入 | 退職日まで給与が続き、入社日が決まっていれば空白が短い | 退職日以降は収入が止まり、活動が長引くほど無収入の期間が延びる |
| 面接の日程 | 平日の面接は有給などで調整が必要 | 日程を組みやすく、短期間に集中して動ける |
| 退職理由の伝え方 | 内定が出ているため、前向きな理由を説明しやすい | 退職から時間が空くと、空白期間の説明を求められることがある |
| 決まらなかった場合 | 現職に残る選択肢が残る | 戻る場所がなく、焦って決めるリスクがある |
在職中に転職活動を進める具体的な方法は、在職中の転職活動の進め方で詳しくまとめています。
先に退職したほうがよいケース
順番の基本は「決めてから辞める」ですが、例外もあります。次のような状態であれば、先に退職を優先する判断も選択肢になります。
- 心身に不調が出ていて、働き続けること自体が難しい
- ハラスメントなどで、在職しながら転職活動を進める余力がない
- 退職後の生活資金に、数か月分の余裕がある
先に辞める場合の判断軸と生活資金の考え方は、仕事を辞めてから転職する場合の判断軸を参考にしてください。
転職先が決まってから退職する流れ|5ステップ
内定が出てから最終出社日までの流れは、次の5つに整理できます。
- 内定承諾後に、退職の意思を伝える準備をする
- 就業規則を確認し、入社日から退職日を逆算する
- 直属の上司に、口頭で退職の意思を伝える
- 退職願・退職届を提出し、退職日を確定させる
- 引き継ぎ・有給消化・書類の受け取りを進める
ステップ1|内定承諾後に退職の意思を伝える
退職を伝えるのは、内定を承諾した後が原則です。承諾前は入社が確定しておらず、現職に伝えたあとで話が変わると引き返せなくなるためです。
内定の連絡を受けた直後は、早く現職に伝えて区切りをつけたくなります。ただ、給与・入社日・職務内容を書面で確認する前に退職を切り出さないことが、最初の防衛線です。
- 給与・賞与・各種手当の条件(労働条件通知書など書面で)
- 入社日と、入社日を動かせる余地の有無
- 勤務地・職務内容・試用期間の有無
- 内定承諾書の提出が済んでいるか
ステップ2|就業規則を確認して退職日を逆算する
次に、現職の就業規則で退職の申し出期限を確認します。「退職は1か月前までに申し出る」といった定めがある会社が多く、ここから逆算して申し出の時期が決まります。
- 転職先の入社日(最終出社日はその前日までに設定)
- 就業規則に書かれた退職の申し出期限
- 引き継ぎに必要な期間と、残っている有給休暇の日数
ステップ3|直属の上司に口頭で伝える
最初に伝える相手は直属の上司です。同僚や他部署に先に話すと、噂として上司に伝わり、関係がこじれる原因になります。
- 「ご相談したいことがあります」と時間をもらい、会議室など他の人に聞かれない場所を確保する
- 対面かオンラインで、まず口頭で伝える(メールやチャットだけで済ませない)
- 日付は決定事項ではなく「退職希望日」として伝える
- 転職先の社名は、伝える義務がないため、聞かれても無理に答えなくてよい
ステップ4|退職願・退職届を提出する
口頭で伝えたあと、会社の指示に従って書類を提出します。退職願と退職届は法的な位置づけが異なります。
| 書類 | 位置づけ | 提出のタイミング |
|---|---|---|
| 退職願 | 会社に退職を願い出るもの。合意解約の申込みにあたる | 上司に口頭で伝えたあと、会社の指示で提出する |
| 退職届 | 退職の意思を一方的に通知するもの(辞職) | 退職日が確定したあとに提出するのが一般的 |
会社に所定の書式がある場合は、それに合わせます。内定後に退職願を出す場合は、会社の承諾を得てから退職日を確定させると、あとからの食い違いを防げます。
ステップ5|引き継ぎ・有給消化・書類の受け取り
最終出社日までは、引き継ぎ資料の作成と有給休暇の消化を並行して進めます。社内外へのあいさつは、退職する時の挨拶の例文と流れが参考になります。
退職時には、転職先の入社手続きで使う書類を受け取ります。
- 雇用保険被保険者証(転職先での雇用保険の加入に使用)
- 源泉徴収票(転職先での年末調整に使用。退職後に届く場合もある)
- 年金関連の書類(基礎年金番号がわかるもの)
- 離職票(失業手当を申請しない場合は原則不要)
退職日の決め方|民法の2週間ルールと就業規則
退職日を決めるときに迷うのが、「法律上は2週間前でよいと聞くが、就業規則には1か月前とある」という食い違いです。
| 基準 | 内容 |
|---|---|
| 民法の定め | 期間の定めのない雇用では、退職の申入れから2週間で雇用が終了する(民法627条) |
| 就業規則 | 「1か月前まで」など会社が独自に定めていることが多い |
| 円満退職の目安 | 引き継ぎ期間を考慮し、1〜2か月前に伝えるのが一般的 |
| 契約社員など有期雇用 | 契約期間の途中は退職しにくいため、契約書と就業規則を事前に確認する |
法律上は2週間で退職できるとされますが、就業規則との関係には見解の幅があります。実務では、揉めずに辞めるために就業規則の期限を守って伝える対応が現実的です。引き継ぎ期間の考え方は退職のタイミングと伝える時期の決め方でも解説しています。
逆算の例を挙げます。入社日が12月1日の場合、最終出社日・退職日は11月30日とし、就業規則が「1か月前」なら、10月31日までに申し出る計算です。
退職日と入社日の間に空白ができる場合
有給消化などで、退職日と入社日の間に空白が生じることがあります。空白の有無で、必要な手続きが変わります。
| 状況 | 手続き |
|---|---|
| 退職日の翌日が入社日(空白なし) | 年金の切り替えは基本的に不要。転職先が手続きを進める |
| 退職日と入社日の間に空白がある | 空白期間は厚生年金に入っていないため、国民年金への切り替えが必要。健康保険も、国民健康保険への加入手続きが必要になる |
| 転職先で社会保険に加入したあと | 国民健康保険に入っていた場合は、脱退の手続きが必要(自動では行われない) |
手続きの詳細は、お住まいの市区町村の窓口や年金事務所で確認してください。
退職を伝える例文と話し方のポイント
切り出す一言は、短く、感情を入れないほうが話が進みます。次の例文を、自分の言葉に直して使ってください。
「お忙しいところ恐れ入ります。今後のことでご相談したいことがあり、30分ほどお時間をいただけないでしょうか。」
「一身上の都合により、〇月〇日をもって退職させていただきたいと考えております。これまでお世話になり、ありがとうございました。引き継ぎは最後まで責任を持って行います。」
ポイントは、退職理由の作り方です。待遇や人間関係の不満を理由にすると、「改善するから残ってほしい」と返され、話が長引きます。
- 退職理由は「一身上の都合」を基本にし、嘘を重ねない
- 転職先でしか実現できないこと(業務領域や環境)を理由にすると、条件改善では覆しにくい
- 現職の愚痴や批判は言わず、感謝を添える
- 日付は「退職希望日」として伝え、交渉の余地を残す
伝える場面で手が止まる人の多くは、「引き止められたら断れないのでは」という不安を抱えています。その不安は、次の章で扱う引き止めのパターンと返し方を先に頭に入れておくだけで、かなり軽くなります。
ここまで読んで、内定は出たものの退職日や入社日の調整で手が止まっているなら、一度プロに状況を話してみてください。企業との間に入る転職エージェントなら、入社日の調整を代わりに伝えられる場合があります。
引き止められたときの対処法
退職を伝えると、引き止めに遭うことがあります。パターン別に、返し方を整理します。
| 引き止めの内容 | 対応の考え方 |
|---|---|
| 「後任が決まるまで待ってほしい」 | 入社日は動かさない前提で、引き継ぎ計画と資料を示す。転職先の入社日を変更するのは最後の手段にする |
| 「給与や役職を上げるから残ってほしい」 | 残る判断をすると、内定先には辞退を伝えることになる。転職を考えた理由が条件面だけだったのかを整理してから答える |
| 「今辞められると迷惑だ」 | 迷惑をかけることへの謝意は伝えつつ、「考えたうえで決めたことで、意思は変わりません」と繰り返す |
| 「辞めるなら損害賠償だ」など圧力をかけられた | その場で返事をせず、記録を残す。困ったときは、労働基準監督署内の総合労働相談コーナーなど公的な窓口に相談する |
ここで大切なのは、その場で結論を出さず、意思表示だけを繰り返すことです。退職の申し出は一度受理されると撤回が難しいため、伝える前に意思を固めておくことが前提になります。
強く引き止められて自分一人では進められないと感じたら、転職エージェントに退職交渉の進め方を相談する方法もあります。
転職先が決まってから退職するときの注意点
段取りが整っていても、次の点を見落とすと転職先との関係に響きます。
- 入社日はできるだけ変更しない(変更は転職先の受け入れ準備に影響する)
- 退職交渉が長引きそうなときは、早めに転職先へ状況を共有する
- 有給消化の希望は、入社日から逆算して現実的な日数に調整する
- 社内資料や顧客情報を持ち出さない(トラブルの原因になる)
- 同業他社へ転職する場合は、競業避止義務の有無を事前に確認する
同業他社への転職では、契約書や就業規則に競業避止の定めがないか確認が必要です。確認の手順は同業他社への転職と競業避止義務の確認手順で解説しています。
退職の手続きと並行して、転職先の入社準備も進める時期です。段取りに不安があるなら、退職日の調整や入社までのスケジュールを一緒に整理してくれる相談先を使うと、抜け漏れを防げます。
まとめ
転職先が決まってから退職するときのまとめ
- 退職を伝えるのは、内定を承諾し、条件を書面で確認したあとが原則
- 退職日は、入社日から逆算し、就業規則の申し出期限を守って決める
- 法律上は2週間で退職できるが、引き継ぎを考えて1〜2か月前に伝えるのが一般的
- 引き止められたら、結論を出さず意思表示を繰り返す
- 退職日と入社日の間に空白ができる場合は、国民年金・国民健康保険の手続きが必要
順番を守って動けば、現職との関係を保ったまま、予定どおりの入社日を迎えられます。
転職先が決まってから退職に関するよくある質問
内定承諾前に退職を伝えてもよいですか?
転職先の社名は現職に伝える必要がありますか?
退職は何日前に伝えればよいですか?
退職日と入社日の間が空く場合はどうなりますか?
同僚に先に話してもよいですか?
運営者情報
ジョブリーは、有料職業紹介事業(許可番号:13-ユ-312147)の厚生労働大臣許可を受けている株式会社レクリーが運営する転職メディアです。
| 会社名 | 株式会社レクリー |
| URL | https://recree.jobree.co.jp/ |
| 本社所在地 | 〒171-0033 東京都豊島区高田3-5-14 サイテックビル4階 |
| 設立日 | 2019年11月14日 |
| 資本金 | 6,000,000円(資本準備金含む) |
| 許可 | 厚生労働大臣許可番号 有料職業紹介事業(13-ユ-312147) |
>>運営者情報の詳細はこちら

